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2019年04月06日

サンフランシスコ国際空港のおじさん

こんにちは!

おとなの英語予備校、代表の谷口翔太です。

 

高校2年の夏、ボクは単身アメリカに渡ることになりました。

徳島県にある駅もない田舎町で育ったボクにとって、アメリカという国は想像もできない、余りにもかけ離れた世界でした。

 

成田国際空港からサンフランシスコ国際空港を経由してシアトル・タコマ国際空港に向かうというルート。

国際線の飛行機に乗るのはそのときが初めて。

飛行機に乗ること自体、人生で2度目でした。

 

国際線の、しかも乗り継ぎ便。

電車の乗り換えすらしたことなかったボクはもうこれだけで一杯一杯…

そんなアメリカに向かう旅でトラブルが起きました。

 

サンフランシスコ国際空港に到着する前に、空港なのかどうかもわからない滑走路に着陸するとそのまましばらく飛行機は停止状態。

当然アナウンスはあったと思いますが、そのときのことはあまりよく覚えていません。

どちらにしても英語が聞き取れないボクには何の意味もなかったと思いますが…

 

それからまた飛行機が動き出し経由地であるサンフランシスコ国際空港に無事に到着。

でもこの段階でボクはもうパニックになっていました。

ここからさらに乗り継ぎをして留学先のシアトルに向かわなければならないので、ちゃんと乗り継ぎできるのかという不安…。

しかもサンフランシスコでは入国審査やら荷物の受け取りやら、次から次へと“試練”が訪れ、もう精神的にヤバイ状態。

 

そんな余裕の全くないボクが入国審査を終えて、次にどこに進んでいいのかもわからずあたふたしていると、空港の職員さんらしきメキシコ系のおじさんがボクの方を見ているのに気づきました。

そしてボクと目が合うと、ボクから見て左手を指さしながら、笑顔でこう言ったんです。

 

 

「コッチ」

 

 

おじさんがかけてくれたこの片言の日本語で、ボクの心がどれほど救われたか…

おじさんの笑顔も声もすべてが優しかった。

 

その言葉を聞いた瞬間に自分の口角が上がったのがわかりました。

何だか懐かしい感覚でした。

それもそのはずです。

ボクは成田空港からずっと笑ってなかったんです。

 

これは留学を終えて実家に帰り、当時の写真を見て気づいたのですが、普段からいつも笑ってるねと言われるボクが、出発前に成田空港で撮ってもらった写真では全く笑っていませんでした。

ただの一枚も…

それほど緊張と不安でいっぱいだったのだと思います。

 

 

おじさんに言葉をかけられたとき、自然と笑うことができ、ボクの心は落ち着きを取り戻しました。

ボクは「サンキュー」と言うと、乗り継ぎのゲートに歩いていきました。

 

 

 

サンフランシスコ空港でのほんの一瞬の出来事。

でもボクはこのおじさんとそのおじさんがボクにかけてくれた「コッチ」というひと言を一生忘れることはないと思います。

 

今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

おじさん、本当にありがとうございました!